紙の基礎

紙とは

紙とは、「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」(日本工業規格 JIS)と定義されており、分かりやすく言うと、「植物の繊維を水中でバラバラにし金網などで薄く抄きあげたもの」です。
英語のpaperの語源と言われる「パピルス」は5000年程前にエジプトのナイル河畔に生えてい た草の名前で、この茎を薄くそいで、並べて押しつぶしくっつけたものです。繊維を取りだし、 水を介して抄いたものではないので、現在の定義から言うと正確には紙とは言えません。

紙の歴史

紙の起源は、5000年程前のエジプトの「パピルス」ですが、植物の繊維を取りだして抄く現在の紙とは随分違うものでした。 現在のような紙の原形は、紀元前2世紀頃中国の「蔡倫」(さいりん)によって発明されたとい われています。中国の4大発明といわれる火薬、羅針盤、印刷、紙の1つで、この紙づくりの技 術は交易などにより東西へと伝わっていきました。
日本へは7世紀頃、朝鮮半島をへて「曇徴」(どんちょう) という僧により伝えられました。原料にはコウゾを使用し これが日本の和紙として発達していきました。
洋紙は明治時代に西洋から日本に入ってきました。木材繊維を原料とし、機械により大量生産できる「洋紙」を製造する製紙工場がたくさん建設されました。新聞や本の発行 の増加にともない、紙の使用量が増加し、製紙技術も発達しました。現在日本は世界トップクラスの技術を持ち、世界第3位の生産高を誇っています。

紙の原料

パルプとは木材をほぐすことによって得られる繊維を集めたものです。そしてこのパルプを主原料として紙は製造されています。 紙は主に木材(針葉樹、広葉樹)から作られるフレッシュパルプと、紙として使用されたものを集め再度パルプ化した古紙パルプがあります。また量は少ないですが、非木材(草類繊維:竹やワラ等、靭皮繊維:ケナフや楮、三椏等)も紙の原料として使用されています。
針葉樹は繊維長が長く、紙力を増すのに適しています。一方、広葉樹はパルプ繊維長が針葉樹と比べて短く、地合を良くし平滑性を付与するのに適しています。古紙パルプはすでに紙として使用された経歴があるため、フレッシュパルプと比較して繊維が傷んでおり、強度やしなやかさが劣ります。古紙パルプは一般的に数回再生利用すると繊維が細かくなり弱くなって、再生することができなくなります。

紙の製造方法

木材パルプ(クラフトパルプ)製造工程

木材チップを高温高圧の釜で煮ると、チップは木材繊維分と黒液に分離する。
その木材繊維を取り出し漂白設備にて洗浄、漂白すると白色度の高いパルプとなる。

抄紙工程

抄紙マシン a)ワイヤーパート
パルプ繊維を網の上で絡み合わせながら水を切り紙層を形成する。
洋紙の場合は1層、板紙の場合は多層のパルプを流す。
b)プレスパート(脱水)
紙を2枚のフェルトに挟みロールの間を通し脱水する。
c)ドライヤーパート(乾燥)
蒸気で加熱した鉄製のシリンダーに紙を押し付け乾燥させる。
d)サイズプレス
紙の表面に薬品を塗り印刷に適した紙にする。
e)カレンダー
数本の鉄のロールの間に紙を通し表面を滑らかにする。
f)リール
巻き取り機でシートを巻き取りにする。

塗工・仕上げ工程

コーター a)コーターヘッド(塗工)
紙の表面に薬品を塗布し、美しい印刷・艶のある印刷が出来る紙を作る。
b)熱風ドライヤー
塗工した紙をドライヤーで乾かす。
c)シリンダードライヤー
蒸気で加熱した鉄製のシリンダーに紙を押し付け乾燥させる。
スーパー
カレンダー
何本もの鉄のロールの間を通し圧と熱で紙に光沢を出す。
仕上げ 巻きなおしまたは1枚ずつ断裁して製品に仕上げる。

和紙と洋紙

和紙とは楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)を原料とし、その樹皮の内側の靭皮繊 維を原料とします。靭皮繊維は広葉樹の7〜8倍と非常に長く、強く、保存性に優れ劣化の少ない 紙となります。そのきめ細かさや独特の味わいにより、主に美術工芸を中心に使用されています。
洋紙は木材パルプを原料とし、機械により大量生産されたものを言います。その生産性や均質性に より新聞用紙、印刷用紙、情報用紙、包装用紙等、様々なものに使用されています。
和 紙 原 料 楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)
繊維長 長い(靭皮繊維)
製 法 基本的には手漉(現在は機械化も進んでいる)
耐久性 高い
洋 紙 原 料 木材(針葉樹、広葉樹)パルプ、古紙パルプ等
繊維長 短い(木材繊維)
製 法 機械による大量生産
耐久性 低い